2020年7月打ち上げ予定の火星探査ローバーのコンセプトが明らかになった。

NASAの火星探査車オポチュニティがドーム型の人口建造物を撮影したのをご紹介しました。
火星で発見されたドーム型の人口建造物

確実な事実を隠蔽する傾向にあるNASAだが、NASAの火星探査車オポチュニティーが撮影した画像等をを元に、乾ききっていると考えられてきた火星の赤道付近にシャーベット状の大量の水が存在している可能性が高いことをNASAが最近になって発表しています。

火星の赤道付近で大量の水が発見された!

2020年7月打ち上げ予定の火星探査ローバーの着陸地はまだ決まっていませんが、次回の火星へのミッションには期待できそうです。

すべて計画どおりに進めば、NASAは次の火星探査ローバーを2020年7月(あるいは8月)に打ち上げる予定です。まだ製作中ではありますが、どうやらこの次世代型ローバーには数々のハイテクガジェットが搭載されることになりそうです。

このローバーは現在、カリフォルニアのパサデナにあるNASAのジェット推進研究所で開発されていて、「Mars 2020(以下、マーズ2020)」以外の名称はまだありません。先輩ローバーたちと同じく、火星では過去に生命がいた痕跡を求めて捜しまわり、火星の地質、大気そして他の自然現象の科学的分析を行うでしょう。しかし、これまでのローバーたちとは異なりこの車体に搭載されているガジェットは格段にレベルアップしているのです。

今月初めのNASAの発表によれば、このローバーには23台のカメラが搭載されるそうで、2003年に火星に打ち上げられたスピリットとオポチュニティより13台多く、2011年に打ち上げられたキュリオシティよりは6台多い計算になります。23台のカメラのうち9台はエンジニアリングの任務用、7台が科学目的、そしてあと7台は探査機の突入、降下、そして着陸を追跡する用とのこと。これらの「目」によってローバーは広範囲に及ぶパノラマ画像を作ったり、障害物を発見したり、火星を事細かに研究するでしょう。そして重要なのは、これらのカメラが搭載されている多くの科学機器と連係するということです。

探査機の突入、降下、そして着陸を追跡する用カメラはローバーの降下中にはパラシュートの広がる様子や、惑星の赤く染まった地表にゆっくりと下降する様子を撮影していきます。無事着陸したら、今度は内蔵カメラが岩石のサンプルをまじまじと観察するでしょう。研究所の検査助手の役目をこなしたら、ローバーは収集したサンプルをあえて地表に置いておくのですが、これはサンプルを回収する未来のミッションのためなんだとか。

さらにマーズ2020に搭載されるカメラからは、以前のミッションよりも多くのカラーと3D画像が提供されることになります。キュリオシティに搭載されていたMastcam(マストカメラ)の2020に装備されるバージョンはズーム(zoom)を表すzが付いたMastcam-zになるのです。2020に備わるカメラは立体映像も以前よりサポートするようになるので、地質学的な特徴のスキャン、距離の測定、そしてはるか遠くから次の探査地を探すときなどに役に立ちます。

以前のローバーに搭載されていた、ナビゲーションカメラ(Navcam)と危険を防ぐためのカメラ(Hazcam)の画質とサイズは、白黒で1メガピクセルでした。それが2020に搭載されるバージョンでは、フルカラーで高画質の20メガピクセルになったのです! さらにこれらカメラは手ぶれを軽減するようになったので、ローバーは火星の地表を勢いよく進みながら画像を撮れるようになりました。そしてレンズもより広角になったので、2020のローバーでは火星の地形のより広大な景色を捉えられるようになります。

「以前のNavcamは複数の画像を撮影し、1枚にまとめていました」とJPLのColin McKinneyさんはプレスリリースで語っています。「視界が広ければ、ワン・ショットで同じ眺めを得られます」とのこと。

さて、フルカラーかつ高画質な3D画像なんて大したことではないと思うかもしれませんが、3400万マイル離れた場所にいるローバーにとっては大したことです。こういった新たなガジェットで得られるデータの宝庫は地球へと送信しなくてはなりませんが、それがこの新技術にとって足かせになってしまいます。

データ送信の問題に対処するため、マーズ2020ローバーに搭載されているカメラでは(キュリオシティと同じく)データを圧縮しますが、軌道を周回している探査機をデータ中継に用いるという解決策もあります。このアイデアはスピリットとオポチュニティ探査ローバーのミッション中に初めてテストされ、NASAはマーズオデッセイ探査機を惑星間の中継局に使いました。まさに未来的な感じですね。

ミッションの科学者であるJustin Makiさんいわく「我々はそのミッションを火星の1日、つまり1ソルあたり数十メガビットだと予想していた」とのことですが、「オデッセイが初めて上空を通過したとき、1ソルあたりおよそ100メガビットだったので、それは全く新しい状況だと我々は気付いた」とのこと。Makiさんの言う「ソル」とは、24時間と39分ある火星の1日を指しています。マーズ2020ミッションにおいて、NASAはマーズ・リコネッサンス・オービタ、MAVEN、そしてESAの微量ガス周回探査機といった既に火星の軌道上にいる宇宙探査機を使おうと計画しています。

カメラまわりだけでもこんなにレベルアップしましたが、計画されているその他の科学的な機器には火星の地表の物質を検査するための蛍光X線分析装置、レーダー撮像装置、マイク、紫外分光計、そしてさらにはローバー上を飛び回って今後の探査地を選ぶのを手伝う、太陽電池で動く約0.9キロ(2ポンド)のドローンであるマーズ・ヘリコプター・スカウト(HMS)があります。

マーズ・ヘリコプター・スカウト(HMS)と呼ばれるドローンが、2020ローバーのお供になるかも
それに加えて新しいローバーの車輪はもっと頑丈(キュリオシティのは劣化しています)になり、牽引力も増し、パフォーマンスを最大化する形状になります。さらには火星の二酸化炭素から酸素の生成を試みるので、火星の最初の入植者たちにとって大事な前例を作れるかもしれません。

ローバーの着陸地はまだ決まっていませんが、NASAは着陸の候補地を公開しています。シルチス北東部(かつて火山活動で暖かかった地域)、ジェゼロ・クレーター(火星の湖の名残だとされる)、そしてNASAのスピリット探査ローバーが2000年代初期から中期にかけて探査したコロンビアの丘の3カ所です。

着陸地がどこになろうと、こんなにもレベルアップしたテクノロジーを搭載した探査ローバーが行くのですから、次回の火星へのミッションには期待できそうです。

引用元 BIGLOBE ニュース