初めて火星に着陸した探査機は、1973年に当時のソビエト連邦が打ち上げたマルス3号です。しかし着陸後、20秒で信号が途絶えました。これに続くマルス6号も着陸1秒後に信号が途絶えてしまいました。
本格的な探査に成功したのは、1976年にアメリカ合衆国が打ち上げたバイキング1号。その後、バイキング計画のバイキング2号も着陸に成功し、火星表面の映像を地球に電送しました。
バイキング1号は、1485周回した後、1980年8月17日に運用を終了しました。バイキング2号のランダーは火星上で1281火星日運用され、バッテリーの故障のため1980年4月11日に運用を停止しています。
地球と火星との距離は、1月1日には地球と火星は3億キロメートル近く離れており、火星の視直径は5秒角もありません。 その後、地球が火星に近づくにつれて火星の視直径がしだいに大きくなっていきます。 そして、7月31日16時50分に、地球と火星は、5,759万キロメートルの距離まで接近します。
地球と火星の軌道位置の関係から、火星探査のために打上げエネルギーが少なくてすむローンチウィンドウは、約2.135年(780日)間隔となる。このウィンドウは約1ヶ月の期間となる。火星探査ミッションが2年おきに実施されているのはこの理由から来ています。
1997年7月4日に火星に着陸したマーズ・パスファインダー
マーズ・パスファインダー(Mars Pathfinder)は、アメリカ航空宇宙局(NASA) JPLがディスカバリー計画の一環として行った火星探査計画、またはその探査機群の総称である。1996年12月4日に地球を発ち、7か月の後、1997年7月4日に火星に着陸した。
この計画で、マーズ・パスファインダーは約1万6000枚の写真と、大量の大気や岩石のデータを送信した。1976年のバイキング2号以来、実に20年ぶりに火星に着陸した探査機となった。
また、従来のロケット推進を用いた軟着陸ではなく、惑星探査の低コスト化を図るためにエアバッグに全体を包み込んで惑星表面に突入し、地表でバウンドさせるという独特の着陸システムを確立し、以降の火星探査に大きく貢献することとなった。
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2004年1月03日に着陸したスピリットとオポチュニティ
スピリット (Spirit)、正式名称マーズ・エクスプロレーション・ローバーA (Mars Exploration Rover A, MER-A) は、アメリカ航空宇宙局 (NASA) の火星探査車。マーズ・エクスプロレーション・ローバー計画でオポチュニティと共に火星に送られた無人探査車の一つである。
2003年6月10日に打ち上げられ、2004年1月3日に火星のグセフクレーターに着陸した。打ち上げ直前の2003年2月1日に発生したコロンビア号空中分解事故を受けて、中型ゲインアンテナの裏には死亡した搭乗員7人を記念したプレートが取り付けられている。また着陸地点は「コロンビア・メモリアル・ステーション」と命名された。
火星大気中の埃が太陽光発電パネルに積もり、発電量低下が続いていたが、2005年3月12日に火星表面に発生するつむじ風によってパネルの埃が吹き飛ばされたのか、発電量が回復した。同様の現象は2009年2月6日にも起きている。
2006年3月、スピリットの右前輪がモーターの断線のため動作しなくなり、以後は残った5輪で走行することになった。
2008年の火星の冬の間、太陽電池パネルに積もった塵と日射量の減少のためスピリットは活動不可能になると懸念されたが、冬を乗り越えて探査を続けることができた。
2009年5月、トロイと呼ばれる砂地を通過しようとした際に車輪が砂に填まり、身動きがとれなくなった。以降はその場に留まって観測を続けた。地上での再現実験を経て、脱出のための車輪回転が同年11月17日から行われたが成功せず、12月には右後輪も故障して動かなくなった。NASAは2010年1月26日に脱出を断念し、静止観測点としての活動を続けると発表した。2004年の着陸から2010年の通信途絶まで6年以上にわたって活動を続けたことになる。
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オポチュニティ (Opportunity)、正式名称マーズ・エクスプロレーション・ローバーB (Mars Exploration Rover B, MER-B)は、アメリカ航空宇宙局 (NASA) の火星探査車で、マーズ・エクスプロレーション・ローバープログラムで使用された2台の探査車のうちの2号機である。2004年1月25日午前5時5分 (UTC) に、火星のメリディアニ平原に無事着陸した。このちょうど3週間前には1号機のスピリットが平原の反対側に着陸していた。これらの探査車の名前は、NASAが主催した学生のエッセイコンテストで最優秀賞を取った9歳の女の子の案によるものである。
探査車は、NASAが想定した耐用期間をはるかに超えて稼働し、火星の地質学的な分析を行った。一週間ごとの活動の状況は、NASAのジェット推進研究所のウェブサイトで見ることができる。
火星上での移動距離は2013年5月16日に35.760kmとなり、1972年12月に3日間月面を走行したアポロ17号の月面ローバーの35.744kmの米国記録を破った。2013年6月末には走行距離が37kmを越え、世界記録であったルノホート2号の走行距離記録に並び、2014年7月28日、オポチュニティの走行距離が25マイル(約40km)に達し、ルノホート2号の記録を抜いて、41年ぶりに探査車による地球外の走行距離記録を塗り替えたとNASAが発表した。
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2008年5月25日に火星に着陸したフェニックス
フェニックス (Phoenix) は、アメリカ航空宇宙局 (NASA) の管理下で、アリゾナ大学の月惑星研究所 (Lunar and Planetary Laboratory, LPL) を中心にカナダ宇宙庁と航空宇宙業界も加わって共同開発された火星探査機である。
2007年8月4日に打ち上げられ、2008年5月25日に火星の北極の、氷の豊富な地域に着陸。着陸後はロボット・アームで北極域の地表を掘り上げて過去の水に関する情報を探し、火星が微生物にとって適切な環境であるかどうかを調べた。
火星の失われた水を追うということが NASA の長期火星探査計画マーズ・エクスプロレーション・プログラムの重要な柱のひとつである。2001マーズ・オデッセイなどによる軌道上からの調査によって火星の北極地域の地面のすぐ下には凍った氷の層が拡がっていると考えられており、この地域の調査は以前からの重要な目標であった。
フェニックスはこの土壌と氷の境界地域に着陸し、それまで周回機でのみ存在が確認されてきた「火星の地下の氷」を直接探査することによって、2つの目標、すなわちこの地域が、はたして生命に適した土壌をもっているのかということについて、そして極地の地質のたどった歴史、特に過去10万年の間に液体の水が存在したのかということについて探求する。
フェニックスは火星の冬を乗り越えられるように設計されていなかったが、日照の回復により活動を再開できる可能性がわずかに存在したため、2010年1月から火星周回機マーズ・オデッセイを使用して断続的に交信が試みられていた。しかし、数十回に及ぶ機会の間にフェニックスの信号は受信されず、またマーズ・リコネッサンス・オービターが撮影した画像からフェニックスが塵に埋もれ破損したことも示唆されていた。これらの状況を踏まえ、2010年5月24日、フェニックスとの交信再開の試みを終了することが公式に発表された。
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2012年8月6日に火星に着陸したマーズ・サイエンス・ラボラトリー
マーズ・サイエンス・ラボラトリー(Mars Science Laboratory、略称: MSL) は、アメリカ航空宇宙局 (NASA) が火星探査ミッションで用いる宇宙船の名称である。探査機ローバー、愛称キュリオシティ (Curiosity) を装備している。
2012年6月11日、NASAはキュリオシティが8月6日5時31分(UTC)ごろに、ゲールクレーター内にあるアイオリス山のふもとに着陸する見込みであると発表した。
2012年8月6日、NASAはキュリオシティが8月6日5時32分 (UTC) に、ゲールクレーターの中にある高さ3マイル、直径96マイルの「アイオリス・パルス」に着陸したと発表した。
2012年8月22日、NASAはキュリオシティの着陸地点に、2か月前に亡くなった小説家のレイ・ブラッドベリに因み「ブラッドベリ・ランディング (Bradbury Landing)」と名づける案がチームから出され、NASAもこれを承認したと発表した。
火星のゲール・クレーターに着陸して以来、総走行距離6.1kmに達したキュリオシティは、2014年4月2日に大規模調査を予定している「キンバリー」と呼ばれる地点に到着した。4つの異なる種類の岩石が重なりあった「キンバリー」(西オーストラリアの地域名に由来)における調査は、「イエローナイフ湾」と呼ばれる盆地の調査以来もっとも大規模なものとなる。
2018年6月7日、NASAはキュリオシティの探査によって、火星に有機分子があることを発見したと発表した。また同時に、火星にあるメタンの量が、季節に応じて変動していることも発見したと発表。
キュリオシティが活動を予定している地域の火星の気温は、+30から −127℃の間で変動すると予想されている。このため、Heat rejection system (HRS) を使って機器の温度を維持する設計となっている。長さ60mのパイプ内にポンプで流体を流し、MMRTGからの熱で保温する。温度が上昇しすぎる場合は冷却にも使える。
キュリオシティに搭載された記録装置の容量は約4ギガバイトしかないため、打ち上げ時点では容量の大部分は着陸用ソフトウェア保持に使っており、そのままでは最小限の探査しか行えないが、地球から遠隔でアップデートできるように設計されているため、火星到着後は不要になったソフトウェアを観測器機の制御用ソフトに更新してから本格的な運用を始める。
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2018年11月26日に着陸したインサイト
インサイト(InSight: Interior Exploration using Seismic Investigations, Geodesy and Heat Transport)は、アメリカ航空宇宙局(NASA)が開発した火星探査機。2018年5月5日に打ち上げられ、2018年11月26日に火星のエリシウム平原に着陸した。当初計画では2年間の活動期間を延長して約4年活動し、火星に吹く「風の音」を初めて捉えるなど成果をあげたが、太陽光発電パネルに塵が付着したことによる電力不足が原因とみられる通信途絶で、NASAが2022年12月21日に運用終了を発表した。
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2021年2月18日にマーズ2020「パーサヴィアランス」が着陸
マーズ2020(Mars 2020) は、アメリカ航空宇宙局 (NASA) 火星探査プログラムによるミッションであり、火星ローバー「パーサヴィアランス」と小型の火星ヘリコプター「インジェニュイティ」から構成される。2020年7月30日(11:50 UTC)に打ち上げられ、2021年2月18日(20:57 UTC)に火星のジェゼロ・クレーターに着陸した。
パーサヴィアランスは、7つの新しい科学機器を搭載し、合計19台のカメラと2つのマイクを搭載している。ローバーは、他の惑星で初の動力飛行を試みる実験機である小型ヘリコプター「インジェニュイティ」を搭載している。
パーサヴィアランスには、火星探査計画の科学目標を支える4つの科学目標がある。
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- 生息可能性の探索:微生物が生息可能な過去の環境を特定する。
- 生命存在指標 (biosignatures) の探索:そのような環境に生息していた可能性を有する過去の微生物の痕跡を、特にその痕跡が長期間保存されていることが知られている特殊な岩石の中から探す。
- サンプルのキャッシング:岩盤コアとレゴリス(「土壌」)のサンプルを収集し、火星の表面に保存する。
- 人間のための準備:火星の大気から酸素生産を試行する。
2021年5月15日に中国の天問一号「祝融号」が着陸
祝融号(しゅくゆうごう)はマーズ・ローバーであり、中国が最初に地球以外の惑星に上陸させた探査車である。中国国家航天局(CNSA)が火星に向けて打ち上げた天問1号の一部である。
宇宙船は2020年7月23日に地球から打ち上げられ、2021年2月10日に火星の軌道に投入された。探査車を運ぶ着陸船は、2021年5月14日に火星に成功裏に軟着陸した。中国はアメリカ合衆国に次いで、火星に宇宙船を成功裏に軟着陸させ火星表面から交信を開始させた2番目の国になった。祝融号は2021年5月22日2時40分(UTC)に配置についた。
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