秒速7~8kmで周回している宇宙ゴミと人工衛星の衝突「高リスク」過去最多。衝突リスクは未解決。

宇宙ゴミ(スペースデブリ)とは、耐用年数を過ぎ機能を停止した、または事故・故障により制御不能となった人工衛星や衛星などの打上げに使われたロケット本体、その一部の部品、多段ロケットの切り離しなどによって生じた破片、デブリ同士の衝突で生まれた微細デブリ、更には宇宙飛行士が落とした「手袋・工具・部品」なども含まれ、天然岩石や鉱物・金属などで構成された微小な隕石)は「流星物質」と呼ばれ区別されています。

宇宙には、大きさ10cm以上のデブリだけでも36500個以上あるといわれ、現在、運⽤中の人工衛星は約5000機以上、2030年までの打ち上げ予定は約46000機以上。

今後10年間で「宇宙の混雑度」はより一層増すと予想されます。

スペースデブリは、地表から300 – 450kmの低軌道では秒速7 – 8km。

36,000kmの静止軌道では秒速3kmと非常に高速で移動しています。



目次

宇宙ごみと人工衛星の衝突、「高リスク」過去最多268件に…政府は「交通ルール」策定へ

宇宙航空研究開発機構( JAXAジャクサ )が運用する人工衛星に宇宙ごみが衝突する危険性が高いと判断した件数が、2021年度は268件と過去最多だったことがわかった。宇宙ごみの増加が原因とみられ、政府は衛星の軌道利用に関するルール策定に乗り出す。

JAXAは地球軌道上で運用している十数基について、米国の接近情報などをもとに衝突リスクを解析している。確率1万分の1以上の「高リスク」は年100件台だったが、21年度は初めて200件を超えた。

JAXAは、衛星の打ち上げ数急増が影響したとみている。昨年はロシアが自国衛星をミサイルで破壊した実験などで宇宙ごみが大量に発生した。多数の小型通信衛星を連携して運用する「衛星コンステレーション」の拡大も懸念材料だ。米国が追跡している10センチ以上の人工物は約2万5000個で、前年より約10%増えた。担当者は「緊張感は年々高まっている」と話す。

21年には国際宇宙ステーション(ISS)のロボットアームに宇宙ごみが衝突し、5ミリ・メートルほどの穴が開く事故が起きた。
 政府は3月、衝突リスクが低い軌道での運用を促すなど、衝突事故を防ぐ「交通ルール」作りの検討を始めた。宇宙法に詳しい小塚荘一郎・学習院大教授は「無秩序な軌道利用は不利益の方が大きいという共通理解を広げるべきだ」と話す。

https://www.yomiuri.co.jp/science/20220515-OYT1T50204/

スペースデブリ問題が深刻化、除去技術で日本が先行

加速する民間企業の宇宙進出によって深刻化しているのが「スペースデブリ(宇宙ごみ)」問題である。現状では国際的なガイドラインは発表されているものの、明確なルール整備は進んでいない。そんななか、世界に先駆けて対策に取り組むのが日本企業だ。デブリ化を防ぐ搭載機構の技術開発や、能動的にデブリを除去する人工衛星の開発が進んでいる。

 1957年に世界初の人工衛星「Sputnik(スプートニク)1号」が打ち上げられて以降、地球軌道上の衛星の数は増え続けてきた。衛星が打ち上げられると、切り離したロケットの一部や運用期間を終えた衛星、それらが破損などにより断片化したものが宇宙空間を漂う。これがスペースデブリ(宇宙ごみ)の正体だ。

スペースデブリは様々な問題を引き起こす。例えばデブリが衛星に衝突すれば、衛星が破損する可能性があるほか、ちょっとした破片が衛星の太陽電池パドルにぶつかっただけでも電力を喪失してその衛星の機能が失われてしまうかもしれない。

 実際、スペースデブリへの危機感が増したのは、衛星同士の衝突事故が起こったからだ。これがもし国際宇宙ステーション(ISS)と衝突すれば、最悪の場合は人命に関わる事故を引き起こしてしまう。

 こうしたスペースデブリ問題は世界中で深刻化してきている。背景には、民間でのロケット打ち上げや衛星サービスなどが急成長し、宇宙空間へ打ち上げられる数が急増していることが挙げられる。

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01819/00005/

宇宙ゴミへの対策が始まっています

現在、アメリカ航空宇宙局(NASA)や欧州宇宙機関(ESA)などの世界各国の宇宙関連機関が商業的パートナー企業や研究機関などと協力し、地球軌道上の宇宙ゴミの除去に向けた取り組みを進めています。

中でも、東京に本社を置くアストロスケール(Astroscale)社は磁力を用いたドッキングプレートを使って、役目を終えた人口衛星や宇宙船を軌道から引きずり出す方法を模索しています。もしこの試みが成功すれば、今後一般的な除去方法として各国で採用されることとなるかもしれません。そのアストロスケール社による世界初の宇宙ゴミ回収実証衛星「ELSA-d(エルサD)」の打ち上げが2021年3月20日に成功。今後、宇宙ゴミの除去に向けた実証実験がなされようとしています。

ELSA-dのプレスキットによると、その実験とは約175kgのサービス衛星と約17kgのターゲット衛生を使い、軌道上を漂う故障した宇宙船を捕獲し移動させる試みです。ターゲット衛生を老朽化した宇宙船に見立て、サービス衛星がそれを安全な軌道まで誘導もしくは地球大気圏に再突入させる計画です。サービス衛生とターゲット衛生には強磁性体のドッキングプレートを装備し、それらが超強力な磁石で引き合うことで密着し捕獲を可能にするのです。

今回のミッションでは、この新たなやり方を試す3種類の実証実験が行われる計画になっています。1回目の実験ではターゲット衛星がほぼ回転していない状態で切り離し直後に捕獲を行い、2回目の実験では回転するターゲット衛星を捕獲します。3回目はサービス衛星がターゲット衛星を見失った状態を設定し、地上のセンサーと機内のセンサーを使ってターゲットの発見と捕獲を行います。

https://www.esquire.com/jp/news/a35932793/risks-of-space-junk-collision-20210329/

スペースXの宇宙ゴミが来月「月に衝突」へ、その法的責任は?

宇宙空間で衝突が発生した場合、その法的責任を問う手続きは1967年に成立した宇宙条約(Outer Space Treaty)と1972年の宇宙損害責任条約(Space Liability Convention)に基づいて行われることになるが、この条約に基づく賠償請求は過去に1件しかないという。

1978年にソ連の人工衛星「コスモス954」が大気圏で爆発し、放射性物質を含んだデブリがカナダ北部にばら撒かれた。カナダ政府はソ連に損害賠償を請求し、最終的に300万カナダドル(現在の米ドル換算で1000万ドル近く)という金額で両政府は決着した。

スペースXがこのような訴訟に直面する可能性は低いが、この種の損害賠償請求は将来的に増えていくはずだと、Hogan Lovellsのカウフマン弁護士は述べている。

なぜなら、軌道に投入される人工衛星はどんどん増えており、それらが有用でなくなれば、宇宙ゴミになる可能性が高いからだ。そのため、各国政府はデブリの取り締まりに乗り出し、規制機関にルールの策定を要求している。

また、世界の主要な宇宙機関のほとんどが、1993年に設立された「宇宙デブリ調整委員会(IADC:Inter-Agency Space Debris Coordination Committee)」に参加し、この問題に取り組んでいる。さらに、NASAがアルテミス計画で有人月着陸を目指す中、NASAと協力する各国政府は、宇宙ゴミを軽減するための条項を含む条約の「アルテミス協定」に署名している。

https://forbesjapan.com/articles/detail/45730/2/1/1

間一髪で衝突回避 ── 人類の宇宙への道を閉ざす“宇宙ゴミ”の危険性

スペースX社のスターリンク計画の人工衛星が、欧州宇宙機関(ESA)の人工衛星に衝突する危険性があった。ESAは人工衛星「アイオロス」を移動させ、千分の一の可能性があった衝突を回避した。

人工衛星の打ち上げが増えれば、衝突する可能性が高まり、危険な宇宙ゴミ(スペースデブリ)が発生する可能性も高まる。人工衛星を破壊することも役には立たない。

専門家は、このままでは地球を周回するデブリが連鎖的に衝突する「ケスラー・シンドローム」を引き起こし、人間の宇宙へのアクセスが数百年にわたって遮断されるのではないかと懸念している。

人類が宇宙に多くのものを打ち上げると、それらが互いにぶつかる確率は上がる。

SpaceXと欧州宇宙機関(ESA)は9月2日、この問題の最新情報をキャッチした。その日、千分の一の確率で、スペースXのインターネット衛星スターリンク(Starlink)の1つとESAの地球観測衛星アイオロス(Aeolus)が衝突することがわかった。

ESAはアイオロスの推進装置を使って軌道を変え、衝突を回避したが、今後も無数の宇宙ゴミは生まれ続けるので(5月のインドによる衛星破壊のような意図的なものもある)より密接な連携が必要になるだろう。

アメリカ政府は、宇宙空間に浮かぶ約2万3000個のソフトボールよりも大きな人工物を追跡している。これら(衛星やその破片)は、地球の周りを時速1万7500マイル以上(約2万8000km/h以上)のスピードで回っている。

4月1日以前、宇宙ゴミのリストには、中国のスクールバスくらいの大きさの宇宙ステーション「天宮1号(Tiangong-1)」も含まれていた。天宮1号は大気圏内で燃え尽きた。

だが、さらに何百万個の、より小さな宇宙ゴミ(流星塵と呼ばれることもある)も地球の周りを回っている。

「見ることはできるが、軌道を追えず、追跡できない小さな物体が数多く存在する」とアメリカ空軍のAdvanced Space Operations Schoolで教えている軌道力学のエンジニア、ジェシー・ゴスナー(Jesse Gossner)はBusiness Insiderに語った。

また企業や政府機関がより多くの宇宙船を打ち上げるにつれて、「ケスラー・シンドローム(Kessler syndrome)」の可能性についての懸念が高まっている。何百年もの間、人類の宇宙へのアクセスを閉ざす可能性がある連鎖的な宇宙ゴミの衝突のことだ。

https://www.businessinsider.jp/post-174329