火星の音速は地球よりも遅い!音の高さによって速さが異なることも判明。

2020年7月30日11時50分 (UTC) に打ち上げられた火星探査機「パーサヴィアランス」を用いた実験によって、「火星における音速」や「音の高さによる速さの違い」が明らかになりました。

地球の空気中での音速は、1気圧で0℃のとき音速は毎秒331.5メートルであり、温度が1℃上がるごとに音速は0.61 m/s速くなる

地球の日常生活上での音速というのは空気中の音速であり、近似的に温度のみの一次式で表わすことができ、1気圧の乾燥空気では次の式が常用されている。331.5 + 0.61 t (※) (m/s) (※ t は摂氏温度)

多くの分野で音速は、常温として15℃を採用することが一般的であり、その場合 340.5(m/s)となります。それで地球上では一般に、音速を15℃で秒速340mとしています。

高校の物理の教科書や試験問題などでも「音速を340 m/sとする」という文章が添えられていることが一般的です。

空気中の音速を直感的にとらえやすい現象として、雷の発光から爆轟が届くまでの時間差や、山間部で山彦が発生し音が反響して聞こえるものがある。



火星では地球よりも音速が遅くなることが予想されてきました。

火星の大気は地球と比べて密度が低く、気温も非常に低いことが知られています。

このため、火星では地球よりも音速が遅くなることが予想されてきました。今回の実験は、パーサヴィアランスから火星の地表にレーザーを照射してプラズマを生じさせ、その際に発せられる音を高度2.1mの位置に搭載したマイクで記録し、レーザーを射出した時間とマイクが音を拾った時間の差から音速を算出。

実験では、パーサヴィアランスに搭載された実験装置を用いて、実際に火星での音速が測定されました。

実験の結果、火星の空気中における音速は約240m/sであることが判明しました。

また、火星の気圧の低さから「周波数が240ヘルツを超える高音は、低音と比べて10m/s速くなる」という現象が生じていることも判明しています。

研究チームは「火星は人間の可聴域(20ヘルツ~2万ヘルツ)で音速が変化する太陽系で唯一の惑星です」「低音より高音の方が速く進むことから、火星ではユニークなリスニング体験が可能な可能性があります」と述べています。

なお、研究チームは火星における音速の測定を継続し、日ごと・季節ごとの大気の変動と音速の関係を求める計画です。