巨大カタパルトで人工衛星を打ち上げる!? 謎の米国企業「スピンローンチ」に集まる投資

「我々が日夜取り組んでいるこの最新の機械は、落下するために上昇するだけの、全く、何でもない仕掛けだ。でも、俺はこいつの何でもないところが、気にってるんだ。」

「いいことなのか、それとも悪いことなのか、分からない。でも、多くの人間がそうであるように、俺もまた、自分の生まれた国で育った。そして、極中流の家庭に生まれつくことができた。だから、貴族の不幸も貧乏人の苦労も知らない。別に、知りたいとも思わない。子供の頃は、水軍のパイロットになりたかった。ジェットに乗るには、水軍に入るしかないからだ。速く、高く。空を飛ぶことは何よりも美しく素晴らしい。でも、学校を卒業する2ヶ月前、そんなものにはなれないってことを、成績表が教えてくれた。だから、宇宙軍に入った。」

オネアミスの翼(王立宇宙軍) – シロツグ・ラーダットのセリフ

宇宙にものを打ち上げるには膨大なエネルギーが必要で、ロケットは高価な乗り物にならざるを得ない。しかしロケット以外の方法で打ち上げることができれば、コストダウンできるかもしれない (C) NASA

巨大カタパルトで人工衛星を打ち上げるという米国企業が登場し投資が集まっている。



目次

謎の米国企業「スピンローンチ」

盛大な炎と轟音を巻き上げながら飛ぶロケット。古今東西、宇宙にものや人を打ち上げる際には、かならずロケットが使われてきた。むしろロケットは、宇宙にものを打ち上げる唯一無二の手段でもある。

宇宙にものを打ち上げるには莫大なエネルギーが必要で、それゆえにロケットはきわめて高価になり、小さな衛星を打ち上げるのにも億単位の金額がかかる。

 しかし、もしロケット以外の手段で宇宙にものを打ち上げることができれば、そのコストを大きく下げられるかもしれない。米国でそんな事業に挑む企業「スピンローンチ」が誕生した。

◆謎に包まれた「スピンローンチ」

 スピンローンチ(SpinLaunch)を立ち上げたのは、Jonathan Yaney氏という人物。彼自身はそれほど有名ではないが、彼の兄弟のMaximus Yaney氏は、成層圏に無人の飛行船を飛ばし、過疎地にインターネットをつなげることを目指した「タイタン・エアロスペース」を立ち上げた人物として知られ、Jonathan氏もこの企業に参画していた。

 タイタンは2014年にGoogleに買収されたが、その直後、スピンローンチが立ち上げられ、Maximus氏は同社のファウンダーのひとりにして、最初の投資家にもなっている。

 もっとも、最近まで同社の存在は謎につつまれており、いまなお、大部分は明らかになっていない。

 その一端が明らかになったのは今年2月、資金調達に成功したことをきっかけに、米国のテクノロジー系メディア「TechCrunch」の独占取材に応えたときだった。

 スピンローンチが目指すのは、宇宙へものを打ち上げるコストを、大幅に引き下げることにある。すでに、イーロン・マスク氏やジェフ・ベゾス氏なども同じ目的で宇宙企業を立ち上げているが、彼らがロケットそのもののコストダウンに挑んでいるのに対し、スピンローンチはそもそも、ロケットではない手段を使おうとしている。

◆巨大カタパルトで宇宙にものを打ち出す

 宇宙にものを打ち上げるには、莫大なエネルギーが必要になる。そのためロケットには、強力なパワーを出せるロケットエンジンを装備したり、機体をできる限り軽く、丈夫に造ったりしなくてはならず、それゆえにロケットはきわめて高価な乗り物となっている。

 現在、大きな衛星を打ち上げるのに数十億円、小さな衛星でも数億円の金額が必要。マスク氏の宇宙企業「スペースX」などはロケットの機体を再使用するなどして、さらなるコストダウンに挑んでいるが、それでも億の単位を切る見込みは立っていない。

 そこでスピンローンチは、巨大なカタパルト(投射機)を使う方法を考えているという。詳細は不明なものの、円形に配置したレールを使って小型のロケットを加速させる。そして猛スピードで打ち出され、大気圏を貫くように飛んで宇宙空間に到達。最終的に小型のロケットを使って、地球を回る軌道に乗るのだという。

 言い換えれば、ロケットが地上から飛び立ってしばらく飛行するまでの段階を、カタパルトによる加速で置き換える、ということになる。ロケットが地上から飛び立つ際には最も強力なパワーが必要で、エンジンや機体も大きくなる。だからこそスペースXなどは、その最初の段階で使う機体を回収して再使用しようとしているわけだが、スピンローンチはそもそもそれを不要にしようというのである。

 Yaney氏がTechCrunchに語ったところによれば、この仕組みを使うことで、打ち上げコストを従来の10分の1~200分の1にまで引き下げたいという。

◆実現には課題山積

 もっとも、このアイディアにはさまざまな問題がある。

 地上には濃密な大気があるため、カタパルトで加速するには膨大なエネルギーが必要になるし、なにより加速できるスピードには限界もある。大気中で加速するならいわずもがな、たとえば真空のトンネルの中で加速して打ち出すにしても、トンネルから出た瞬間に空気の壁にぶつかり、速度も落ちる上にかなりの衝撃が加わる。

 また、地球を回る軌道に到達するには、おおよそ秒速10kmの速度が必要になる。しかしカタパルトでは、空気抵抗やエネルギー変換効率などを考えると、どうやってもその15%程度までしか加速することができないため、あまり助けにはならない。

 さらに、それだけのエネルギーを投入することは不可能ではないかもしれないが、そのための設備や電力を考えると、普通にロケットで加速する場合と比べて本当にコストダウンができるかは疑問が残る。

 実際、これまでも米国航空宇宙局(NASA)などが、レールガンなどを使ってロケットを打ち上げるシステムの研究・開発を行ったことがあるが、どれも実用化には至らなかった。

 もちろん、スピンローンチにはなんらかの秘策があるのかもしれない。とはいえ、空気抵抗や重力など、この世の原理・原則となる現象が限界としてのしかかっている以上、ここ数年で技術革新は進んだとはいえ、それを打ち破ることはファンタジーに近い。

◆それでも集まる投資

 だが、Yaney氏によると、今年2月の時点ですでに1000万ドルの資金を調達。さらに6月14日にBloombergが報じたところによれば、Googleの親会社として知られるAlphabetや、欧州の航空宇宙メーカーのエアバスが出資する投資会社エアバス・ベンチャーズ(Airbus Ventures)などから、新たに総額4000万ドルを調達したという。

 新しいロケットを開発しようと資金集めに奔走している企業は世界中にいくつもあるが、その中でもこの額は比較的大きく、投資家からの期待の高さがうかがえる。

 もっとも、テック企業への投資という点から見れば、数千万ドルという金額はそれほど大きいわけではない。スピンローンチにしても、これだけの金額で実用化できるとは思っていないだろう。

 また、投資側にしてみれば、開発で生まれる可能性のある技術、たとえば大容量のコンデンサーや高効率のエネルギー変換技術を得ることが目的なのかもしれない。どちらも、スーパー・コンピューターや電動飛行機など、すなわち投資したAlphabetやエアバスの事業に役立つ技術である。

 いずれにしても、スピンローンチの今後に注目したい。

<文/鳥嶋真也>

引用元「巨大カタパルトで人工衛星を打ち上げる!? 謎の米国企業「スピンローンチ」(HARBOR BUSINESS Online) – Yahoo!ニュース

日本の宇宙開発

日本の宇宙開発では日本での宇宙開発について述べる。

日本の宇宙開発は1950年代の半ばに糸川英夫が大学の研究班で始めた。30cmほどの小型ロケットから始まった研究であったが徐々に大型化し、人工衛星を打ち上げる研究を行うようになった。衛星を打ち上げるようなレベルに到達した頃、国も宇宙開発専門の機関を設置した。以来研究室から始まった宇宙科学研究所(ISAS)と国の機関である宇宙開発事業団(NASDA)の二つの宇宙開発機関が独自にロケットの開発を行ってきた。1990年にスーパー301条で商用衛星が競争入札になり、1990年代末から2000年代の初めに幾つかの失敗を経験した後、初めて統一された宇宙機関である宇宙航空研究開発機構(JAXA)が設置された。

他国の発展方法と違い、小型のロケットが徐々に拡大した点や、大学が国より早く開発を始めた点など開発の経緯が特徴的である。現在は、機関の統一による予算削減など厳しい財務状況の中で開発を行っている。

大型ロケット開発成功と諸問題

宇宙開発事業団はLE-5エンジンを成功させ、日本国内での技術が進捗したことも鑑み、国内技術をより高めるために純国産液体燃料ロケットを開発することを決めた。開発は1984年から始められた。H-IIロケットはすべてを一から再設計したものである。

1段目のエンジンも完全国産を目指し、その開発は難航した。日本が新型の1段目として開発していたLE-7ロケットエンジンは、高圧の水素・酸素ガスの燃焼を利用するもので、振動による部品破損や、材料の耐久性などの問題を解決するのに時間がかかった。水素が漏れることによる爆発も起きた。固体ロケットブースターには宇宙科学研究所で研究が続けられてきた固体ロケットの技術を生かすことになった。

開発には10年かかり、H-Iの最後の打ち上げから2年後の1994年に1号機を打ち上げることになった。2月3日に打ち上げる予定であったが、フェアリングの空調ダクトが発射台から落ちたために1日延期し、2月4日に液体ロケットとしては初めて完全国産となったH-IIロケットの1号機が打ち上げられた。

一方、宇宙科学研究所は1989年の宇宙開発政策大綱の変換でより大型のロケットの開発が可能になり、固体燃料ロケットで惑星探査が出来るロケットの開発を1990年から始めた。こちらもロケットモーターの開発で問題が発生した。開発が長引き、M-3SIIロケットの最終飛翔からやはり2年後の1997年にM-Vロケットが完成した。ロケットの空白期が生まれたために、火星探査機のぞみは打ち上げを2年延期することになった。

こうしてロケットの開発が進んだ日本であったが、1990年(平成2年)には米国貿易政策「スーパー301条」が適用され、日本が国内で使用する実用衛星も国際競争入札にしなければならなくなった。これによって実用衛星の打ち上げに関しては、より安価に打ち上げることの出来る米国製のロケットが多くを持っていき、また、少数生産で高コストの国産衛星は、大量生産で低価格の欧米の商用衛星に敵わず、ひまわり5号の後継機は米国製の完成品購入になった。

みどりのような環境観測のための衛星や、はるかのような天文衛星など科学衛星や実験衛星は日本のロケットで打ち上げられることがほとんどであり、これらの衛星は大きな成果を上げた。しかし、商用衛星の打ち上げが海外に流れたことは現在に至るまでロケットの商用打ち上げの実績を積むことができない理由ともなった。

また、1990年代後半から2000年代初めにかけては新たに開発した大型ロケットで躓くことになった。H-IIロケットの5号機と8号機が連続で打ち上げに失敗し、M-Vロケット4号機も打ち上げに失敗。火星探査機のぞみは軌道投入に失敗した。これらの失敗と折からの行政改革の動きが重なり、宇宙機関の統合が政府で提案されるようになった。

組織間の連携の強化、機能の重点化、組織体制の効率化などを行う計画が立てられ、宇宙開発事業団は、H-IIロケットの打ち上げ失敗を反省してロケットの再設計と簡素化を行い、2001年にH-IIAロケットの初打ち上げを成功させたが、2003年10月1日に宇宙科学研究所(ISAS)、宇宙開発事業団(NASDA)、航空宇宙技術研究所(NAL)が統合され、文部科学省の下で宇宙航空研究開発機構(JAXA)が発足した。

現在

1998年の北朝鮮のミサイル実験以降、過去には行われてこなかった情報収集衛星の打ち上げやミサイル防衛など防衛目的での宇宙利用が行われるようになった。また、冷戦終結後は欧州や中国、インドなど各国の宇宙開発の進展によって国際環境が変化したことで日本独自の宇宙開発の意義も変化。

さらに、研究開発や科学だけでなく商用や産業の発展などの実用への活用の要求や、宇宙開発に協力する国内民間企業への恩恵の少なさなどが日本の宇宙開発の課題となっていた。

このような問題に対応するため、宇宙開発の中心を文部科学省から関連省庁の垣根を越えた内閣総理大臣の責任の下に移すことが考えられるようになり、2008年に宇宙基本法が制定された。これによって法的に内閣の下での宇宙開発の計画管理の一元化の道筋が立ち、防衛利用の法的根拠等も整備された。

制定後、内閣に宇宙開発戦略本部、内閣府に宇宙政策委員会と宇宙戦略室が相次いで設置された。従来、文部科学省の宇宙開発委員会が行っていた計画管理も内閣府の宇宙政策委員会に移り、新しい宇宙開発計画体制が構築された。従来の日本の宇宙開発体制では、JAXAを所管していた文部科学省が力を持っていたが、これらの組織の発足により経済産業省も力を持ち始めるのではないかと推測されている。

引用元「Wikipedia

アメリカにおける現在の宇宙開発

アメリカは月到達以降常に宇宙開発の先端を歩み続けている。開発費用の減額があったものの、現在でも欧州宇宙機関の3倍に上る資金が投入されており、様々な衛星や探査機が順次打ち上げられている。

惑星探査では火星にさらに観測衛星や探査車を送り込むことに成功している。2000年代の2001マーズ・オデッセイやマーズ・エクスプロレーション・ローバーのスピリットとオポチュニティの探査は火星のさらに詳しい情報をもたらしている。

マーズ・オデッセイの観測では極域の冷凍された二酸化炭素の表面の地下に水の存在する可能性が示され、2台のマーズ・エクスプロレーション・ローバーは火星に風化や浸食の跡を見つけており、さらに流体によって作られたと思われる地形も発見している。水であるかどうかは断定できないものの、これらは非常に大きな収穫であった。

アメリカではNASAとは別個に国防総省が宇宙開発を行っており、現在では国防総省の宇宙開発予算のほうが多くなっている[2]。世界の核拡散の危機にたいして、アメリカは世界中に核の乗るであろう弾道弾迎撃システムを広げるかまえを見せており、宇宙域での撃墜についても検討されている。

また、偵察衛星は200機以上存在している。宇宙は安全保障の分野でも重要な位置づけを占めるようになっている。一方で米国では現在科学系統のNASAに振られる予算と国防総省に振り分けられる予算の2つが存在し、両者の間には確執があるといわれている。

ロケット開発では現在までもデルタ、アトラスの両系列とが使われているほか、オービタル・サイエンシズ社のミノタウロスIVとトーラスロケット、スペースX社のファルコン9などが存在する。民間企業のロケットは商業的な打ち上げに使われている。

ブッシュ大統領時代に、米国ではコンステレーション計画と呼ばれる計画が立てられた。これは人類を再び月へ運び、さらにその技術から火星へ向かうという計画であった。この計画によって一時的にNASAの予算が増加し、有人惑星探査のためにNASA内部の資金も大きく割り振られたが、世界同時不況以降はNASAの予算が再び減少に戻り、この計画は廃止された。

しかしながら、その後に政権に就いたオバマ大統領も2030年代までの火星の有人探査計画を公表している。この計画ではアメリカは火星に行くために注力し、火星の周りの周回軌道に人類を送り込むという計画である。これらの状況から見れば、アメリカは火星での有人探査を狙っていると考えることが出来る。

また、世界共同で進められている国際宇宙ステーションの運用も2030年代まで延ばしたいという意向を示している。

引用元「Wikipedia