双子のテレパシー奇妙な一致の謎


遺伝では説明がつかない双子の奇妙な一致はテレパシーによるものなのか?
偶然では片づけられない数々の奇妙な一致をよく耳にする。双子のなかでも同じ卵子から生まれた一卵性双生児は、遺伝子が同じなので顔も体つきも瓜二つというのは、よく知られている話である。双子はテレパシーで通じ合っているのか?



目次

特別インタビュー「双子はテレパシーで通じ合う?」

20年以上にわたって双子を研究してきた米国の心理学者ナンシー・L・シーガルに、「双子とテレパシー」「性的指向」といった素朴な疑問をぶつけてみた。

――人々は、なぜこんなにも双子に興味をもつのでしょうか?

 私の場合は、自分自身が二卵性双生児であることが関係していると思います。私たち姉妹は幼い頃からまったく似ておらず、私はいつも、その違う部分に強い関心を抱いていました。

 欧米の文化では、個人の力や才能に価値が置かれますから、双子、とりわけ一卵性双生児に出会うと“あるべき”状態に反している気がするんでしょうね。それから、うらやましいという気持ちもあるのかもしれません。双子は、自分を完全に理解してくれるソウルメイトを持っていると考えられてますから。これは、誰もが願うことじゃないでしょうか。

――双子はお互いに必ずソウルメイトなんですか? それとも、それは単なる“神話”でしょうか?

 たいていの場合、一卵性双生児は二卵性よりもずっと結びつきが強いです。一卵性双生児の多くは互いの絆がきわめて深く、他の兄弟と比べてけんかが少ない傾向にあります。以前、双子の片方が亡くなったときの残された方の悲しさを調査したことがありますが、配偶者を亡くしたときの悲しみに匹敵するという結果が出ました。これは一卵性にも二卵性にもあてはまりますが、一卵性の方がより悲しみが強い傾向にありますね。

――そもそも双子はどれほど珍しいのでしょう?

 一卵性双生児は、どちらかといえば珍しいといえるでしょう。欧米諸国で自然に双子が生まれる確率は80回の出産に対して約1回の割合で、一卵性はさらにその3分の1にすぎません。もっとも米国では、体外受精など生殖補助医療(ART)の増加に伴い、二卵性双生児の誕生が劇的に増えています。一卵性双生児が誕生する割合は世界のどこでも大体同じです。ただし最近の研究で、家系によっては遺伝的な要素が関係している可能性があることがわかってきました。

――双子がテレパシーのような超感覚的なつながりを持っているという話を聞いたことはありますか?

 私自身は、そうした事例を見たことはありません。2002年にフィンランドで、自転車に乗っていた一卵性双生児の兄弟が心臓発作で同時に亡くなりました。これを、二人の間である種の特別なコミュニケーションが生じたのだと考える人々もいるようです。しかし私は、このケースは二人の身体および健康面における特徴が非常に似通っていたことを示すものだと考えています。双子の中には、遠方にいる相手が困っているのを感じたと話す人もいますよ。でも一日に20回も相手のことを心配していれば、そのうち1回は相手が本当に助けを必要としていたとしても、不思議はないんじゃないでしょうか。それはテレパシーなどではありません。

――双子が異なる性的指向を持つことはあるのでしょうか?

 もちろんあります。一卵性双生児が同性愛者である確率は、他の人の場合とほぼ同じです。しかし双子の一人が同性愛者の場合、もう一人もそうである確率は高くなります。さらに興味深いのは、一卵性双生児の一人が性転換手術を受けた場合です。私が調査した一卵性双生児の姉妹のケースでは、一人が性転換手術を受けて男性になってからも、もう一人は女性のままでした。どうしてそうなったのか、はっきりとした理由は分からないのですが、おそらく胎児のときに受けたホルモンの影響の違いによるものだと考えられます。

引用元「双子が明かす生命の不思議 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト

どうして双子は以心伝心しやすいの? 双子の“シンクロ二シティ”の不思議

世の中には、単なる偶然の一致と片付けられない現象があります。たとえば、双子は言葉にしなくてもお互いの思っていることが伝わると言いますが、お昼ごはんに何を食べるか、遊園地でどのコースから回るか、どんな人が好みかなど…挙げればきりがありません。日常生活における選択でかなりの部分で、趣味や志向が似通っていることは間違いないと言えるでしょう。

このように、特にコミュニケーションをとらなくても心が通じ合うことを、「シンクロニシティ」と呼んでいます。今回は、この不思議なシンクロニシティのメカニズムについて、医師に聞いてみました。

■ それまでの人生経験が大きく影響

人がある選択をするとき、遺伝的な好みとそれまでの人生経験に基づいて行う、ということが分かっています。直観的な判断や熟考して決めた判断のいずれにおいても、無意識のうちにこれらの要素が大きく関係しているのです。

双子は、遺伝的に同じバックグラウンドを持っている上に、成人するまでの長い時間を一緒に生活していることが多く、同じ人生経験を積んでいます。そのため、何かの判断をするときには、当然、その内容が似通ってくるものと考えられます。このように考えてみれば非常にシンプルで、だからこそ自分が思っていることをもう一方も思っている、いわゆる以心伝心が起こりやすくなるのです。

■ 双子はテレパシーもできちゃうの?

このように以心伝心が起こりやすいと言われている双子ですが、一方に何かの情報を与え、もう一方にそれをテレパシーで伝えてくださいという実験をしても、うまくいきません。あくまでも、これまでの経験に基づいた判断に関する場合のみ、シンクロニシティが発揮されるのです。

では、成人して別々の人生経験を送ると、シンクロニシティはどうなるのか。遺伝的背景は同じでも、人生経験が異なるにつれて、やはりものの考えや判断の仕方が変わってきます。そのためシンクロニシティは少しずつ薄れていき、おのおのの個性が出てくることになるでしょう。

引用元「どうして双子は以心伝心しやすいの? 双子の“シンクロ二シティ”の不思議 Doctors Me(ドクターズミー)