人間の体内時計の謎


一日は25時間?

生活サイクルと地球・月の動きとは一致するとも言われている。

われわれ人間だけではなく、地球上の生物はみんな体内時計を持っていると言われている。体内時計こそ、ミステリーコードといってもいいだろう。一日25時間と言われる体内時計が示す暗示とは何か?



目次

ヒトの体内時計のリズムは25時間

ヒトは、からだの中に時計を持っています。この時計は体内時計(生物時計)といいます。動物だけでなく、植物でもほぼ24時間のリズムで活動しています。現在、哺乳動物では、この体内時計は脳の視床叉上核というところにあることが判明しています。さらに最近の研究からは、体内のあらゆる臓器にこの体内時計が発現しており、視床叉上核は“主時計”であり、オーケストラの指揮者のごとく、体内のあらゆる時計の指揮を執ると考えられています。

ヒトを光の手がかりの全くない昼と夜の区別の出来ない状況のもとで、生活を続けると、少しずつ遅く起きて、少しずつ遅く眠るようになります。これはヒトの体内時計の固有のリズム(概日リズム)が24時間よりずれている為で、ヒトでは、25.0時間であることが判っています。なぜヒトの概日リズムが24時間でないかは判っていませんが、もし24時間であれば、どうなるでしょうか。まず、昼夜が逆転するような生活のリズムが乱れる事がなくなり、朝、目覚まし時計がなくてもほぼ一定の時間に目を覚ますでしょう。また体内時計が24時間であれば、毎日リセットする必要がなくなり、リセットする能力がなくなるかもしれません。そうすると夜間に働くことは極めて困難になるでしょう。また外国に行ったとき、時差ぼけが解消しない可能性があります。

ヒトの体内時計は1日に25時間のサイクルで回ろうとしています。現実の生活は24時間サイクルですから、毎日1時間、体内時計をもどす必要があります。このリセットに最も大事なことは、朝方の日光であることがわかっています。体内時計の主時計が存在する視交叉上核は目から脳へ視神経が伸び交叉するところにあります。毎朝日光を浴びることにより、体内時計を1時間もどすことになります。

また毎日の食事刺激が、視床叉上核を介さずに、脳の時計や体の各部位の時計をリセットできることも確認されています。夜に強い光の下にいることや、朝食を抜いたり、夜食を取ることは体内時計を後ろにずらし夜型生活パターンを助長することとなります。

引用元「No.117ヒトの体内時計のリズムは25時間|一般社団法人 加古川医師会

体内時計とは?

人間には1日周期でリズムを刻む「体内時計」が備わっており、意識しなくても日中はカラダと心が活動状態に、夜間は休息状態に切り替わります。

体内時計の働きで人は夜になると自然な眠りに導びかれます。

体内時計は毎朝光を浴びることでリセットされ、一定のリズムを刻みます。

カラダのほぼすべての臓器にも体内時計があり、脳の体内時計からの指令でさまざまな生体リズムを刻んでいます。

例えば、血圧の日内変動やホルモンの分泌や自律神経の調節なども、体内時計が刻む生体リズムのひとつです。

引用元「体内時計とは? | 体内時計.jp

生物時計

生物時計とは、生物が生まれつきそなえていると思われる、時間を測定するしくみのことである。 生物時計は通常、人の意識に上ることはない。しかし睡眠の周期や行動などに大きな影響を及ぼしており、夜行性・昼行性の動物の行動も生物時計で制御されている。例えば食餌の前に胃酸や分解酵素があらかじめ準備されるが、これらも生命時計によるもので、生命時計は個体の能力を最大限には発揮させるに不可欠なものである。また、昆虫では活動時間に時間差をもたらすことで限られた空間を共有し、同種の異性との出会いの機会を増やすなど動物の生存にとって重要な「時間的住み分け」と「行動の時間配分」を行っている(岡山大学 富岡憲治)。

鳥が渡りをする時に太陽の位置を見て方角を定めることができること(太陽コンパス)などからも生物時計が確かに存在していることが知られている。他にもミツバチが外界から隔てられ日の光も入らない巣の中で仲間に蜜の方向を仲間にダンスで知らせる方法も、その時刻での太陽の方角を規準にしているので、そこにも時計機構が介在していると想定されるのである。また、植物の花・芽の形成が日長に支配される現象も、時計機構と密接な関係がある。

1960年ころから生物時計に対する生物学者の関心が高まってきた[2]。日本でも同様で、1970年代に研究が活発になり生物リズム研究会が生まれ、1990年代に日本時間生物学会へと発展した。

引用元「Wikipedia

正確に時を刻む体内時計に3つのなぞ

私たちの体内にはほぼ24時間のリズムを刻む時計遺伝子がある。最近では病気や精神状態と深くかかわっていることが判明し、注目分野の1つになっている。時計遺伝子には(1)周期はほぼ24時間(2)光などでズレをリセットできる(3)温度が変わっても一定――の3つの性質があり、研究者はその仕組みのなぞを解き明かそうとしている。

Q 朝に目覚め夜に眠くなるのは、時計遺伝子のせいだったんだ。

 A 地球上の生物が昼夜の周期に合わせて進化してきた証拠といえるね。20億~30億年前に誕生した光合成をするシアノバクテリアに時計遺伝子の原型がみられるそうだ。それが私たちの体にも備わっていることは、1997年にマウスで時計遺伝子が見つかって確定した。現在20個ほどの関連する遺伝子が分かっているという。

 Q どうやって24時間を刻んでいるのだろう。

 A 実はまだその全体像がよく分かっていないんだ。ただ約20個の遺伝子が巧みに連動してたんぱく質の合成と分解を繰り返し、リズムを生み出していると考えられている。人間では個人差はあるけれど24時間より少し長めで25時間には達しない。地球の1日の周期とは少しずれているけれど、朝日をみてリセットして修正ができるようになっている。そうしないと、ズレが蓄積して生活のリズムも乱れ、大変なことになっていたかもしれないね。

 Q 夜行性の動物も同じなの?

 A 基本はそのようだ。ただ周期は24時間よりも短くなっているケースが多いらしい。日没時か日の出の時にリセットして、周期を伸ばす修正をしているみたいだね。

 Q 温度が変わっても一定ということがなぜ不思議なの。

 A たんぱく質の合成と分解でリズムを刻んでいるわけだから、研究者は酵素反応のように、体温付近で最も反応速度が高くなり、低温なら速度も遅くなると考えていた。ところが時計遺伝子のリズムはセ氏27~37度の範囲で温度を変えてもほとんど速度が変わらず、どうしてだろうと悩ませてきたんだ。最近その謎を解き明かせそうな温度変化に強い反応が見つかり、リズムを刻む仕組みが分かりかけてきたようだよ。

 Q 時差ボケや不眠などを解消する方法が見つかるかもしれないね。

 A 時計遺伝子の変調によって認知症やうつ病に似た症状になる人がいて、光照射などの方法で治療を試みる例が登場している。夜勤に伴う体調不良や不眠症、ホルモン分泌の異常などとも関係しているから、今後、病気の原因究明や予防法や治療薬などを開発する研究も活発になっていくだろうね。

引用元「正確に時を刻む体内時計に3つのなぞ  :日本経済新聞

体内時計25時間はウソだった!

「シフト勤務ですとかフレックスタイムですとか、中には時間がまったく一定しない職種ですとかいろいろありますが、実は、ある人に眠りやすい時間というのはかなり固定されているんです。非常に宵っ張り型の人から早寝早起き型の人まで、ほぼ遺伝的に決定されてるものなんですよ。体内時計に関係することでその体内時計自体、遺伝子によってかなりきちんと制御されていると分かっているんです。横綱、関脇級に大きな影響がある遺伝子が10と幾つか特定できていまして。ほら、私達の中で体内時計はよく25時間とかいわれてますでしょう。でも、あれは嘘なんですよ」

 たしかに、体内時計は25時間であるという話は聞いたことがある。今、ウェブで検索すると、まことしやかにそう書いてあるサイトがある。ただ、これは、今の知見では否定されているというのだ。実は、ぼくは三島さんとの対話の中で、いくつも俗説が単なる「神話」だと知らされることになるのだが、第1弾がこれだった。

「体内時計の1日の周期の平均は、実は24時間10分で、24時間にかなり近いんです。ただ、これも平均より長い人も短い人もいて、やはり正規分布しています。ですので、とりわけ24時間に近い体内時計を持ってる人は、毎日苦労しなくてもおなじ時間に眠たくなって、目覚ましなしでも起きられるわけです。でも、体内時計が長い人は、ちょっと気を抜くとどんどん夜更かしのほうにずれていってしまう。だから、もともと苦労しないでも寝起きができる人と、なんとかカツカツで体内時計の調整してる人がいるんですよ。逆に体内時計の周期が短すぎてひどく早寝早起きになってしまって、社会生活上困るという遺伝病もあります」

引用元「第2回 体内時計25時間はウソだった! | ナショナルジオグラフィック日本版サイト