NASAが火星で有機分子を発見した!

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米国航空宇宙局(NASA)は2018年6月7日、火星探査車「キュリオシティ」の探査によって、火星に有機分子があることを発見したと発表した。また同時に、火星にあるメタンの量が、季節に応じて変動していることも発見した。

有機分子は生命の材料になり、痕跡でもあり、またメタンは生命活動によって発生しうる。このことから科学者は、太古の火星に生命がいたかもしれない、あるいは現在もいるかもしれないことを示す、新たな証拠だとしている。

■ 有機分子の発見

キュリオシティは2011年に打ち上げられた火星探査車で、2012年に火星に到着。1トン近い丈夫な機体と、そこに積まれた最先端の観測機器を駆使し、火星の地表を走り回り、ときたま立ち止まって岩や土を詳しく探査している。

今回の発見は、キュリオシティが火星の「ゲイル・クレーター」という、かつて湖だった場所を探査しているときにもたらされた。キュリオシティが約30億年前の堆積岩を調べたところ、有機分子(炭素や水素を含む物質)が検出された。

有機分子は生命の誕生や生存に必要な材料とされるため、かつて火星に生命が活動していた痕跡である可能性がある。また、有機分子自体は2013年にも、同じくキュリオシティが発見しているが、今回はかつて湖、つまり生命が生存するのに欠かせない水があった場所から見つかったことから、より生命に関連した有機分子かもしれない。

ただ、有機分子は自然にも生成されうるため、この発見がすぐに「火星に生命がいた」ということを示しているわけではない。科学者らも「有機分子がどうやってもたらされたのかはわからない」としている。

もっとも、NASAの科学ミッションの責任者を務めるThomas Zurbuchen氏は前向きに、次のように語る。

「火星の生命を探す現在の取り組みの目標や方法が間違っていないこと、そして今後の探査によって、さらなる驚くべき発見がもたらされるだろう」。

■ 季節に応じて増減するメタン

今回もうひとつの発見として発表されたのは、火星のメタンが季節に応じて増減しているということである。

キュリオシティは地面を探るいっぽうで、大気中にあるメタンについても観測し続けていた。そして6地球年(約3火星年)にわたる継続的な観測によって、ゲイル・クレーターが夏の間はメタンが増え、冬には少なくなる傾向があることを突き止めた。

火星にメタンがあることは、2000年代前半、欧州の探査機などの観測によって判明。メタンは、火山活動や、ある種類の岩石と水との化学反応、そして生物活動などから発生する。

また、メタンは太陽からの紫外線などで破壊されるため、火星では短時間しか存在できないはずであり、いま現在もメタンがあるということは、なんらかの活動によって、いまなお発生し続けていると考えることができる。

今回の発見の肝である、メタンの量が夏に増え、冬に減るということは、地球では起こらず、火星ならではの不可思議な現象である。科学者らは、たとえば地下の氷の中に閉じ込められており、夏にはそれが溶けて漏れ出し、冬には凍って少なくなるという可能性を考えているが、そのメカニズムは特定されていない。

また、そもそもメタンがどのようにして作られたのかもわかっていない。火星には火山活動は確認されていないため、岩石と水との化学反応かもしれないし、微生物の活動によってできたものなのかもしれない。あるいは太古の昔に作られたものが、徐々に放出されているという可能性もある。

■ 火星に挑み続ける人類

人類は火星――とくにそこにいた、あるいはいまもいるかもしれない生命の謎について、約半世紀前から挑み続けてきた。まだ答えは見つからないが、それでも多くのことがわかってきた。

そしてこれからも、火星への挑戦は続く。現在、欧州とロシアが共同で開発した探査機「トレイス・ガス・オービター」が観測を始めており、火星のメタンの起源の解明を目標のひとつに掲げている。2020年には探査車も打ち上げ、ドリルで地中を掘り、土を分析することを目指している。

また同じ2020年には、NASAもキュリオシティの改良型となる探査車「マーズ2020」の打ち上げを計画している。マーズ2020はそれ単体で探査できるだけでなく、将来のミッションで集めた土を地球に持ち帰ることができるよう、梱包してカプセルに詰めることを予定している。

火星の生命の有無についてわかるのは、おそらく当分先のことになろう。それでも、NASAのZurbuchen氏が言うように、探査の方向性は間違っておらず、そして喜ばしいものか残念なものかはわからないが、徐々に答えに近づきつつあるのは間違いないだろう。

引用元「NASA、火星で有機分子を発見──生命が存在した可能性を示す新たな証拠か?(ニューズウィーク日本版) – Yahoo!ニュース



火星探査車キュリオシティの5年半の旅路を振り返る

NASAの火星探査車「キュリオシティ」がシャープ山の尾根「ヴェラ・ルービン・リッジ」から撮影したパノラマ画像が公開された。キュリオシティが着陸から現在までの5年半の間に訪れた主な地点を一望できる。

NASAの火星探査車「キュリオシティ」は、2012年8月に火星のゲール・クレーター内部に着陸し、以降5年半にわたり稼動を続けている。現在はゲール・クレーターの中央に位置するシャープ山(高さ約5000m)の裾野を350mほど登った地点にいる。

昨年10月25日、キュリオシティはシャープ山北側の裾野にある尾根「ベラ・ルービン・リッジ(Vera Rubin Ridge)」から、これまでの約18kmに及ぶ旅路を一望するパノラマ画像を撮影した。画像に写っている地平線の山々は、キュリオシティから約2km離れたゲール・クレーターの北縁だ。その向こうには、同クレーターから約85kmの距離にある山も写っている。撮影が実施されたのは火星の北半球が冬至を迎える直前で、空が澄んでいる季節だったおかげで遠方まで詳細にとらえられている。

「キュリオシティはシャープ山の裾野を5年間登り続けてきましたが、来た道を振り返って、このミッションの探査地域すべてを見渡すことができたのはこれが初めてです」(キュリオシティ・プロジェクト・サイエンティスト Ashwin Vasavadaさん)。

画像に写っている「イエローナイフ湾(Yellowknife Bay)」は、微生物に必要な化学成分をすべて含む淡水湖が過去に存在した証拠が2013年に見つかった場所だ。さらに北(画面奥)には「ピース谷(Peace Vallis)」の河床と扇状地が写っている。これは約30億年前にクレーターに水と堆積物を運んだ川の名残だ。また、キュリオシティの進路上の「キンバリー(Kimberley)」や「マレー・ビューツ(Murray Buttes)」といった場所もとらえられている。

パノラマ画像が撮影された場所は着陸地点より約327m高いところだったが、3か月の現在、キュリオシティはさらに26m高い場所へと移動している。ここ数日間は、次の探査目的地「クレイ・ユニット(Clay Unit)」を臨む南方向のパノラマ画像を撮影したところだ。クレイ・ユニットでは上空からの過去の探査で粘土鉱物が検出されており、かつて水が豊富な環境だったと考えられている。

こういったパノラマ画像や分析データなど、キュリオシティが得た大量のデータを地球に送信する上で、火星周回軌道にいる探査機「メイブン」にデータを中継させる大容量通信が最近活用されている。

これまで、キュリオシティからのデータ送信は、火星をほぼ円軌道で周回する火星探査機「マーズ・リコナサンス・オービター」や「マーズ・オデッセイ」経由で行われてきた。一方、メイブンは非常に細長い楕円軌道を周回しているため、メイブンが近火点(軌道上で火星に最も近づく点)付近に来たタイミングでうまくキュリオシティの上空を通過する場合には、メイブンを中継に使う方がより多くのデータを送ることができる。1月22日にはメイブンの中継を介して、これまで最大だった840メガビットを超える1006メガビットのデータ送信に成功した。探査機経由での火星からの通信で一度に1000メガビットを超えるデータが送信されたのはこれが初めてだ。

現在キュリオシティ・チームは、クレイ・ユニットでの探査に先立って、岩石の分析にドリルを再使用する準備を進めている。キュリオシティのドリルは、ロボットアームの先端から出ている2本の支持棒を岩石に当ててアームを支え、支持棒の間に格納されているドリルの刃をモーターで繰り出しながら穴を開ける仕組みだ。しかし、2016年12月に刃の繰り出し機構が動かなくなり、それ以降ドリルは使われていなかった。チームではトラブルを解決するための試行を繰り返し、2017年8月にドリルの刃を何とか最大長まで繰り出すことに成功した。今後は刃を繰り出したままの状態で、支持棒の支えなしで岩石に直接刃を当て、ロボットアームの力で刃を岩石に押し付けながら穴を開けるという方法をとることにしている。

引用元「キュリオシティの5年半の旅路を振り返る – アストロアーツ

NASA、30億年前の火星の泥岩から有機分子を発見

火星探査車Curiosityが火星で発見した有機物に関する2つの論文が6月8日号のScience誌に掲載されている。

1つは30億年前の泥岩サンプルから有機分子が検出されたというものだ。サンプルはシャープ山裾野の数地点で地表から5cmほどの深さまで掘削して採取されたもので、CuriosityのSAM(Sample Analysis at Mars)で加熱・発生ガス分析を行った結果、芳香族化合物や脂肪族化合物が検出された。化合物の中にはチオフェンが含まれていることから、硫化が有機物の保存を助けた可能性が示唆されるとのこと。

もう1つはゲールクレーター内で季節によって大気中の微量なメタン濃度が変動するというものだ。火星時間で3年近く(地球時間で5年以上)にわたる観測の結果、北半球の夏にメタン濃度が上昇して夏の終わりにピークを迎え、秋には減少していくことがわかったという。季節変動には大気圧や紫外線の強さなども要素となるが、観測された変動はこれらの要素を上回るもので、火星でのメタン発生の起源をつきとめるのに重要な手掛かりになるとのことだ。

生命と関連付けて考えられることの多い有機物だが、非生物学的に生成されることもあり、必ずしも生命の存在を示すものではない。火星の有機物が生命に関連して生成されたのか、生命とは無関係に生成されたのかは現在のところ判明していないが、火星で生命の手掛かりを探す、という現在の探査計画は正しい方向だとNASAは考えているようだ。

引用元「NASA、30億年前の火星の泥岩から有機分子を発見 | スラド サイエンス

火星で複雑な有機物発見、メタン濃度の季節変動示す証拠も NASA探査車

【タンパAFP=時事】米航空宇宙局(NASA)の無人火星探査車キュリオシティーが、火星表面にある35億年前の岩石からこれまでで最も複雑な有機物質を検出した。科学者チームが7日、発表した。火星の生命探査に飛躍的な進展をもたらす発見だ。(写真はNASAの無人火星探査車キュリオシティー)
 さらにキュリオシティーは、火星大気中のメタン濃度が季節変動することを示すさらなる証拠を発見した。これは、メタンの発生源が火星自体で、おそらく火星の地下水である可能性が高いことを示唆している。
 火星のゲール・クレーターでの掘削調査で採取された複数の化合物は、生命の直接的な証拠ではないものの、キュリオシティーが火星に着陸した2012年以降に火星表面から掘削採取された化合物としてはこれまでで最も多様性に富んだものだと、専門家らは指摘している。
 米科学誌サイエンスに発表された2件の論文のうちの一つの主執筆者で、NASAのゴダード宇宙飛行センターの宇宙生物学者のジェニファー・アイゲンブロード氏は「これは重大な意味を持つ発見だ。火星上で最も過酷な環境の一部に有機物質が保存されていることを意味するからだ」と説明する。
 「もしかすると、これよりもさらに保存状態の良い、内部に生命の痕跡を含む何かが見つかる可能性もある」と、アイゲンブロード氏はAFPの取材に語った。
 キュリオシティーによるこれまでの探査でも有機物質が見つかっていることが、過去に報告されていた。
■「より大きな何か」への糸口
 アイゲンブロード氏によると、今回検出された化合物は隕石(いんせき)に由来するものか、もしくは地球の石炭や黒色頁岩(けつがん)と同類の地層、あるいは何らかの生物に由来するものである可能性があるという。
 化合物の正確な発生源は、いまだに謎のままだ。
 「今回検出されたのは、より大きな何かの断片だ」と、アイゲンブロード氏は述べた。
 サンプルの掘削はゲール・クレーター内にあるシャープ山のふもとで実施された。同クレーターには古代の火星の淡水湖が存在していたと考えられている。
 「火星にかつて生命が存在していたとすると、ここはその当時生命が生息するのに適した場所だった」と、アイゲンブロード氏は話す。
 キュリオシティーは火星表面から深さ5センチまで掘削して泥岩のサンプルを採取し、搭載している小型分析室で加熱した、
 サイエンス誌の論文によると、フランス製機器による分析の結果「チオフェン、2-および3-メチルチオフェン、メタンチオール、硫化ジメチルなどの、地球の有機物に富む堆積岩に似た複数の有機分子および揮発性有機化合物」が存在することが明らかになったという。
■メタンは夏に増える
 サイエンス誌掲載の別の論文では、季節によって大きく増減する火星のメタンの発生源の探求に関する最新情報が報告されている。
 3年分の測定データに基づく論文によると、最も単純な構造の有機分子メタンの濃度は、変動範囲が「0.24~0.65ppbで、北半球の夏の終わり近くにピークに達する」という。
 メタンガスは水分子がつくる結晶構造の中に閉じ込められた「クラスレート」と呼ばれる状態で、寒冷な火星表面下に蓄えられている可能性があると、研究チームは述べている。
 サイエンス誌に同時掲載された解説記事は「ゲール・クレーターは約35億年前、生命が発生した当時の初期地球に匹敵する条件を備えた生命存在可能な場所だったことを、キュリオシティーの調査結果は示している」と説明している。

引用元「火星で複雑な有機物発見、メタン濃度の季節変動示す証拠も NASA探査車:時事ドットコム